歯周病

歯周病は一昔前は「歯槽膿漏(しそうのうろう)」とテレビCM等で呼ばれた歯を支える骨を溶かす感染症です。初期の自覚症状はあまりなく、気が付いたときには歯ぐきのボリュームや高さが下がり、歯がグラグラ、最悪の場合、抜歯という状況になります。

歯を失う原因の第1位は、虫歯ではなく、この歯周病です。当院では、この国民病とも呼べる歯周病の治療と予防に力を入れています。

歯周病の進行の仕方

  • 骨には変化なし▲歯周ポケットが出きる
  • 腫れ・出血▲歯ぐきが腫れ出血する
  • 膿み▲ブヨブヨ膿み骨が溶ける
  • グラグラ▲歯グラつく(動揺)

歯を支えている骨を徐々に溶かしていき、最終的には歯が抜け落ちる病気が歯周病です。一度溶けた骨と下がった歯茎は、残念ながら万全な元の健康状態に戻すことは不可能です。

歯周病治療の流れ

1.初診

歯周ポケット

歯周病の検査1回目です。歯周ポケットの深さ・出血の有無・歯の動き・顎の骨の状態を検査します。

すべての患者さんに行う検査で歯周病のリスクを診断します。

2.歯周病治療(スケーリング・ブラッシング指導)

スケーリング
  • 歯肉縁上歯石(=歯ぐきから上に見えている歯石)を除去します。
  • 歯の汚れを染め出してセルフケアの状態を確認します。
  • 患者さんに合う歯磨きのコツや清掃用具の選択方法を指導をします。
  • 必要があれば、噛み合わせの調整を行い適合の悪い修復物を除去や改善します。

3.再評価・検査(2回目)

再評価

1回目の検査からの改善があったか再評価します。歯周病治療(スケーリング・ブラッシング指導)により、歯ぐき・顎の骨・セルフケアの状態を再確認いたします。

4.歯周病治療(SRP)

歯周病治療

歯肉縁下歯石(歯ぐきの中の歯石)を除去します。※基本的には4ブロックに分けてSRPを行います。痛みがある場合は、局所麻酔を行いますのでリラックスして治療を受けていただけます。

また、歯肉縁下歯石を除去するSRPで改善されないケースや顎の骨が溶かされた状態になる重度の歯周病のケースでは、菌に対するお薬を服用していただくことがあります。

5.再評価・検査(3回目)

再評価

歯周基本治療やお薬の服薬により改善されたか評価いたします。歯周基本治療により、歯ぐきや顎の骨が安定した場合はメンテナンスに移行していただきます。

歯周病の主な原因は歯垢(プラーク)や歯石ですので、定期的に歯科医院で除去してお口の健康を維持しましょう。患者さんによりメンテナンスの間隔は異なりますので、ご了承ください。

6.再SRP・歯周外科治療

再SRP

3回目の検査でもさらなる改善が必要と判断された患者さんは、SRPを再施術したり、歯周外科治療に移行します。

歯周外科治療では、腫れや出血を繰り返す歯ぐきなどの歯周組織を除去して縫合する外科処置を行います。

7.メンテナンス(SPT)歯周病安定期治療

メンテナンス

歯周基本治療や歯周外科治療により歯や歯周組織が健康な状態と判断された場合は、メンテナンスに移行していただきます。

歯周病は国民の8割が罹患するともいわれており、再発も多い病気です。そのため治療後は健康なお口を保てるよう歯のクリーニングを定期的に受けていただくことが大切です。

また、歯周病により抜けた歯がある場合は、その場所を補うための修復物(ブリッチ・入れ歯・インプラント)を製作する治療を行います。

こんな疾患に注意!「歯周病と全身疾患の関係」

歯周病はお口だけではなく、身体の健康状態にも悪影響を及ぼします。特に、中高年になると歯周病に罹患するリスクは高まりますので注意しましょう。

誤嚥(ごえん)性肺炎

食べものや異物が食道ではなく誤って肺や気管に入ってしまうことで引き起こされる病気です。食べものなどと一緒にお口の中の細菌を肺に送り込んでしまうことが原因です。

唾液中に歯周病原因菌が多い方や飲み込む力が低下したシニアの方は発症しやすいため注意が必要です。

早産・低体重児出産

妊娠中はホルモンバランスの関係で、歯肉炎になりやすいといわれています。特に妊娠中期から後期にかけて歯肉炎が引き起りやすく、歯周病に罹患しやすい環境となります。

歯周病が進行してしまうと分泌される炎症物質が多くなり、子宮の収縮が引き起こされて、早産や低体重児出産の原因になると言われています。

歯周病の早産に対する危険率は2.01倍、低体重児出産に対する危険率は2.20倍、早産および低体重児出産に対する危険率は4.68倍とリスクが高くなります。

心臓疾患・脳血管疾患

歯ぐきに炎症が起こると、傷ができた歯ぐきから歯周病の炎症物質が血管内に入り込み、全身に行き渡ります。すると、動脈硬化を引き起こしたり、血栓ができやすくなったりするリスクが高まるのです。

糖尿病

歯周病は糖尿病の合併症のひとつともいわれています。歯周病にかかると、炎症物質により血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効果を妨げ、糖尿病が悪化するとわかっています。

また、糖尿病の方はそうでない方に比べて歯周病に罹患しやすく進行しやすいのです。ただし、歯周病治療を受けると糖尿病が改善されることも明らかになっており、相互に影響を及ぼし合います。

骨粗鬆症

歯周病が進行すると歯ぐきの腫れや出血に収まらず、歯を支えている顎の骨も溶かしてしまいます。

骨粗鬆症の方は骨密度が低く、歯周病による影響が大きいため歯周病の進行がはやく、歯を失うリスクが高まります。

歯石除去(SRP)について

歯の裏の歯石

歯周病治療の基本的な施術方法は歯石除去です。スケーリングやSRP等と呼ばれ、歯を支える骨(歯槽骨)を溶かして歯ぐきを下げていく原因となる歯石を丁寧に除去していく基本治療です。

歯石は歯周病原因菌の住み家となっており、その菌が歯ぐきと骨に炎症を起こさせます。一度下がった歯ぐきは自然には戻りませんので、歯科医院で定期的なクリーニングを受け、歯石をつかないようにすることが大切です。歯石はご自身では落とすことができませんので、歯科医院で専門的に除去してもらう必要があります。

歯周外科

歯周外科

歯周病により感染した歯ぐき等の歯周組織を除去し縫合していく外科治療方法です。感染した歯ぐきを除去しないと健康な歯ぐきにもどんどん歯周病が進行しますので、早期切除が大切です。

予防歯科

予防歯科

歯石や細菌が滞在しないように、日ごろから歯科医院の定期的な受診とセルフケアで、歯周病は予防できます。

歯周病は自然に治癒することはありませんし、いったん進行してしまったら、下がった歯茎はもとに戻ることはありません。

予防歯科についてはこちらのページをご覧ください。

歯を失ってしまった場合

歯周病の進行がひどく、歯が抜け落ちてしまったり、グラつき(歯の動揺)がひどく、抜歯せざるを得ない場合は、以下の治療方法で失った歯を補うことになります。

抜けたままにしていると、隣接する歯や対合する歯も倒れてきたり、浮いてきたりする症状が出ますので、早期に何らかの治療方法でスペースを補う必要があります。

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